SP404

巷で人気なのかよくわからないが、最近はまた少しづつLo-fiなHIPHOPが復権している。90’sのヒップホップが好きな自分は今の状況を好ましく感じている。

リバイバルというのは当時と同じにはならないところがポイントであり、やはり90’sと2015以降のサウンドは少々異なる。主にツールが変わった様な気がしている。

90年台のサンプリングで作られたHIPHOPは主にSP1200やMPC60、MPC3000、MPC2000、といったシーケンサーとサンプラーが一体化したマシンを中心に作られていた印象が強い。中にはラックタイプのサンプラーと単体のシーケンサーで制作している人もいたかと思う。

さて、近年のサンプリングビートのリバイバルにあたってどうやら流行している機材が有る。RolandのSP303、SP404、SP404SXだ。

従来のMPCで作られたタイトなビートとはことなり、もぞもぞと鳴っている俗に「Lo-fi」とい言われているサウンドの正体がSP404の様な気がしたので買ってみた。

自分が買ったのは無印のSP404で、SP404SXではない。Vynal Simというエフェクトが非常に人気な様だが、SXのVynalSimはSP303、SP404と異なりコンプではない様なので無印にしてみた。

曲が作りづらい

SP404を利用しているトラックメイカーは実は多い。フライングロータスやDibiase、RAS Gなどのロウエンドセオリー周辺のアーティストがSP404を利用している様だ。

また、BandCampとYouTubeなどで密かに流行している?ChillOutなLo-fiビートもどうやらSP404を利用して作られたトラックが多いようだ。これらは前述のアーティストとは異なり、もしかしたらSP404単体で作成されているのではないだろうか。

実際にSP404を使ってみるとMPCに慣れていた自分としてはとてつもなく使い勝手が悪い。BandCampを中心に活動している人などは非常にシンプルなトラックが多く、基本的にワンループで一曲が短く、展開はさほどないが途中エフェクト処理や簡単な抜き差しでトラックを作っている人が多い。また、ベースラインが入っていない曲が多いのでなぜだろうと思っていたが、恐らくはSP404のみで作成しているからではないだろうか。

DAWなどを利用せずに、とにかくSP404のみで作り、その2MIXをそのまま作品にしている様な気がする。

反面、RAS Gやフライングロータスなどの周辺アーティストに関してはSP404のみで作っている訳ではないと思う。そもそも複雑なビートプログラミンを行うにはSP404はチープ過ぎる。恐らく全体的な機材の中にSPを組み込んで利用していると思われる。

MADLIBもSP303を使っていたらしいが、彼の場合はハードディスクレコーダー側でタイミングの補正などを行っていたのでは無いかと推測している。やはり単体で楽曲制作を完結させようとするとなかなか骨が折れる。

いろいろと分析してみた

恐らくSP404を利用して作られたLo-fiなトラックは、ビートの骨子などは予めMPCなどで作成されていると思う。そのビートをまるまる2MIXでSPに取り込むか、もしくはMPCの出力をそのままSPに接続しエフェクトを利用している可能性が非常に高いと思う。

ウワモノなどはタイミングのシビアさが無い為、SP404で使ってもいいかもしれない。とにかくエフェクトのかかりに上品さが全く無いし、エフェクトをかけてリサンプルなどしていくとどんどんサンプルが怪しいオーラを放ち始める。

BnadCampなどで聞けるLo-fi系のトラックメーカーはよく途中でスライスのエフェクトを掛けたりするのだが、それは100%SPのエフェクトだろう。また噂のVynalSimに関してもピッチの揺れやレコードノイズの追加など、巷で聞けるものと同じだった。

COMPなどは全サンプルにかけておくと小さな音がまるでサイドチェインでコンプがかかったように消える。サイドチェインが流行っていると思っていたのだが、どうやらこのSP404のコンプが正体だったようだ。

また、BandCampのLofi系ビートはベースラインが入っていない曲ばかりなのだが、SP404のみでベースラインを作成する事が出来ない(サンプルに音程を付けて弾くのが現実的に無理)な為だと発覚。

また、シーケンサーは非常にチープなので、ビートはばらしたパーツをシーケンスするというよりはループのブレイクビーツをそのまま使うのが正解な様だ。タイミングなどにこだわりたいならMPCかDAWを使ったほうがいい。

自分は恐らくSP404単体では曲を作らないと思う。多分MPCとDAWを駆使しつつ、美味しいところだけ取り出す様な形でやりたい。

まとめると

SP404を買ったのだがSXでも良かったかな、と思っている。SXはエフェクト切り替えが出来るのでそれが便利だ。SP404がもたらした制作方法というのはある意味でDUB的だ。エフェクト処理によるところが大きいと思う。

サンプリングした音質がどうか、という事になるとわりと最近の機種である為に特に癖はない。エフェクトを掛けなければわりとハイファイだ。しかし、Lofiにする手段がかなり沢山用意されている機種なのだ。

DAWやプラグインではやはり上品になってしまうところもあって、この頭のわるい感じはHIPHOPトラックを作るには非常にいいと思う。しばらくこき使ってわかったことがあったらまた何か書くかもしれない。

追記 2017/11/17

思えばSP404を買ってからすでに半年程度。色々とかんじた事があるので追記します。

音質について

以前音質は「クセが無い」と書きましたけれど、コレは嘘ですね。ある意味とてもクセのある音質だと感じました。まず、高域が若干荒れる。中域が少し減って若干ドンシャリ気味に。

でも高域のザラつき加減が完全にAKAIなどとは異なっていてザラザラしている感じ。若干クリスピーな感じのクセがありますね。AKAIはむしろ逆でサンプリングすると高域が少し丸い感じになる印象。

使い方について

何名かの素晴らしいSP使いの方と色々とお話させて頂く機会が有ったので色々と解った事が。やはりビートのプログラミングがSP単体だと難しい為、やはり多くの方は「MPC>SP」という経路で接続されている模様。

MPCで作ったトラックをSPに落とし込み利用するパターンが多いみたい。実は自分もあるイベントでビートライブ的な事をやってきたのですが、MPCで組んだビートをSP404に落としてプレイしました。反省点多数。

あと自分で色々と実験したやり方として、MPCで組んだトラックをDAWでMIXする時にDAWからオーディオインターフェースのセンドリターンを利用して、SPのエフェクトをかけてDAWに戻す、なんていう遊びも。

最近ちょくちょくSPで実験してるのだけど、リサンプリングでどんどん音をダーティーにして、そのサンプルをMPCに戻す、なんてやっても結構面白い感じです。とにかく攻めた音作りに関しては他社サンプラーを大きく引き離している印象。

RAS Gのビートライブ動画を見ていたら、ビートはPCで再生しつつ、声ネタなんかをSPでポンだし+エフェクトで彩りを添えている感じだったりと、SP303やSP404に関してはまだまだおもしろく多様な使い方があるなって感じです。

なんだかんだ半年程度しか使ってないのでまだまだ使いこなせているワケでは無いので、引き続き色々と実験を繰り返してみようって感じです。