みなさんおはようございますこんにちはこんばんわ、TANOSHITです。本日は自分が若かりしころとは異なる現在の「ラッパー」や「トラックメーカー」の事情について少々掘り下げてみたいと思う。

フリースタイルダンジョンの盛り上がりに比例して、ラッパー人口がめっちゃ増えているらしい。しかもラッパーはトラックメーカーにトラックを作ってもらいたいものらしい。しかし、実はここで問題が起きるようだ。

ということで、今回はラッパーがトラックメーカーに気持ち良くトラックを作ってもらえる方法、そしてトラックメーカーが気持ちよくラッパーにトラックを作って上げられる方法について考えてみたい。

もしかしたらイラッと来る人もいるかもしれないけれど他意は無いから気にしないでね。

ラッパーがオリジナルトラックを欲する理由?

まず、自分の場合は90年台にHIPHOPのパーティーに行き始めた。ちなみにラッパーのライブも当時からあるが、当時のラッパーは大体お気に入りのトラックをDJに二枚がけして貰ってライブをしていた。

これは理由があって単純に「オリジナルトラックでライブ出来る環境」が無かったのだ。だってまずスクラッチ出来るCDJが無いんだもの。そんなんだから仕方ない。オリジナルトラックでなくても誰かのトラックに合わせてラップする、これは普通だった。

あと当時販売されていたHIPHOPの12インチは大抵アカペラとトラックだけのバージョンがB面に収録されていた。だからラッパーもレコードを買ってやってたってワケです。

さて、反面現代のラッパーがオリジナルトラックを欲する理由というのが「ネット文化」が背景だと思う。オリジナルトラックでYouTubeやSoundCloud、果てはniconico動画など様々なサービスに自分の楽曲を上げる、という現代的な成り上がりの方法が有るからだと思う。

しかし、実のところラップのスキルっていうのはトラックとは別である。確かに誰かのビートを使って動画サービスに上げる事は出来ないワケだ。そういう背景もあってオリジナルトラックの需要はうなぎのぼりなのかもしれない。

需要と供給

昔から根本的に人口比はラッパー>トラックメーカーだと思う。

トラック作るって大変なんです。人によっては凄く時間がかかる人もいるし、ざっくり組んだだけのビートに対して以下みたいな作業が必要って事をラッパーは割りと理解しておいた方が良いと思います。

トラック制作→MIX→マスタリング

これはラップのアカペラデータを貰った場合は更に「トラック制作→MIX→ラップ乗せてMIX(人によっては抜き差しだったり音足したり)→ラップ乗ったバージョンでマスタリング」までやる人もいると思う。

そう、商業クオリティを目指してかっこいい作品を妥協なく作るとなるとこういった作業が必要になる。もちろんこの作業工程を1人でこなすトラックメーカーもいるし、トラックだけを作るトラックメーカーもいる事を忘れてはならない。

何が言いたいかというとトラックメーカーはもっとも地味で最も作業が多い場合がある。恐らくラッパーがリリックを書くよりも、作品が完璧な形でパッケージングされるまでのプロセスは本当に気が遠くなる様な作業だ。(早い人もいるけどね)

面倒くさい上にトラックメーカーは最低限の機材を持っている。勿論これも様々だ。しかし基本的に納得いくものを作る上で時間を掛けたり金をかけたりをするのがトラックメーカーである。なので結構軽い感じでお願いしてみたら怒られちゃった、っていうラッパーの人もいるかもしれない。

とにかく現在トラック提供しているトラックメーカーはちょっとしたバブル状態なんじゃないか?と思う。なにせ毎日新たなラッパーが生まれててもおかしくないくらいの雰囲気(事実は知らない)。

なのでエグい言い方だけど「トラックメーカー完全売り手市場」ではないかと感じている。さらに制作作業は時にしんどい。ラッパーの人はこのあたりの事情をよく理解するといいかも。

例えば問題になるのは「お金」の問題だったりするんです。

トラックはお金がかかる?

トラックを作るのに「お金がかかる」という事を知らないラッパーの人は多いようだ。ツイッターなどで「トラック提供します」と言っている人はトラックを作ってくれるのだ、と思うのは理解出来る。お金について触れられていない場合は「無料かな?」とかおもっちゃうワケですよ。

しかし、知る限り多くのトラックメーカーは「トラック有償提供」で対応していると思う。

自分は金を取らない。一緒に作品を作りたいラッパーにしかトラックは上げない。基本自分のトラックは売り物では無く面白そうなラッパーの乗り物だと思っているので金は関係ない。だってPeteRockはイチイチCL Smoothに金要求してた訳?そんなハズ無いでしょ。

勿論自分以外も無償提供している人もいる。でもやっぱり「かっこいい・面白い・将来が楽しみ」とかそういうお金以外にそのラッパーと組むことのメリットを感じないとまず動かないハズ。

なのでもしトラックメーカーが「タダでもいい、サポートしたい!」と思うくらいのラップスキルや個性が無い場合ってお金を払う以外にないと思います。

でもね、多くのトラックメーカーが無償でトラックを提供したいと思わないレベルのラップしてるなら、多分ストリーミングサービスにラップをUPしても何も起きないよ。厳しい事言うけどオリジナルトラックよりも先にラップスキルがあればトラックなんて勝手に集まってくると思うよ。

トラック募集・提供で起きがちな問題

その1:お金がかかるんですか!?問題

はい、コレはよくラッパーとトラックメーカーのやり取りで「タダじゃないんですか!?」とか「タダで作って下さい!!」とかで揉める事が多いです。解決方法は結構簡単。

トラックメーカー:有料である事を明示する。無償なら無償と書く。
ラッパー:金はかかって当たり前と思いましょう。

以上でまずは解決。

その2:ラップはどうやって録ればいいんですか!?問題

はい、ラッパーでマイクも録音機材も無いケースが有ります。その場合トラックメーカーが人が良く、住んでいる地域も近ければ解決は可能でしょう。でもトラックメーカーが仮にトラックを提供したあとに「録音出来ないんです」とか言ってきた場合、内心「ハァ!?」って思ってる可能性が有ります。解決方法はコレ。

■トラックメーカー
もっと詳細な見積もりを作る。出張レコーディングやマスタリング、ラップのミックス料金も作るといいんじゃない?俺が有償でやるなら多分「修正費用」とかもあらかじめ発生しそうな項目を全部書いておくかな。じゃないと絶対赤字になる気しかしない。
■ラッパー
品質にこだわらないならiphoneのガレージバンドで頑張れ。品質にこだわりたいなら録音環境揃えよう。か、レコーディング・スタジオ行くと間違いない。金はかかるけど仕方ない。レコスタの費用考えると実は機材買ったほうが長期的にコスパ高い場合が有る。そこは財布とご相談。

余談だけど俺は自分が好きだったり将来楽しみなラッパーだったら別に録音環境なくっても気にしない。何かしら作品を完成させるうえでパッケージングは最後まで面倒見るって決めてる。小さいながらもレーベルあるわけだし。

まあしかし、やっぱり仮録音の環境がどんなレベルでもいいから有ったほうが絶対に楽。

その3:互いの礼儀的な部分について

ちょっとしたパーティーで自分のラップ入りCDを配りたい、とかそんくらいであればオリジナルトラックである必要はまったくない。そんなんでイチイチ金を払ったりトラックメーカーに頼むことなんてしなくていい。

なので最低限のお勧めは「トラック製作依頼」をするまえに、依頼相手に最低限「現在の自分のラップスキル」を提示出来る環境を作るべき。無料のトラックのでも誰かのトラックでもいいから、スキルは解ってもらえるようにするとラッキーなことが有るかもしれない。

ほんとね、コレは最低限の礼儀だから絶対にやったほうがいいよ。トラックの依頼と一緒に自分のラップを相手に聞かせるくらいしたほうがいい。名刺交換とかするじゃん。他の人に聞かせたくないのであればサウンドクラウドにプライベートで上げとくとかいくらでも方法有るから。

金払いいくらよくっても「Prod by●●」とか書かれる場合もあると思うから、正直金もらってもトラック作ってあげたくねー!ってレベルの人も中にはいるかもしれんでしょ。無駄なやり取りはガチで時間の無駄。オトナの時間は高いわよ。ってことで。

あと、もしトラックメーカーがSoundCloudにトラックUPしてたら好きなトラックかどうかは絶対に聞いておけ。「作ってくれるらしいから連絡しました」とかはマジでクソファッキンだ。

そもそもトラックメーカーは万能じゃない。ラッパーの要望通りの仕事が出来ない場合が有る。それは「スタイル」が有るから仕方ないことなんだよね。

あとトラックメーカーはやっぱり今まで作ったトラックをまさかやってない人はいないと思うんだけどサウンドクラウドなりYouTubeなりに上げておくべきだと思います。まさかやってない人はいないと思うけどね!

その4:仲悪くなるのは本末転倒

HIPHOPカルチャーにおいてラッパーとトラックメーカーは同じ文化の担い手。本当は気持ちよく協力しあって、互いに目標を目指していくのがベストに決まってる。

だからまあ、多少不躾な人がいてもあんまりおおごとにするべきでは無い。そもそももし有償でトラックメーカーをしているのならばコレはビジネスでありラッパーは顧客だ。ビジネスは全然HIPHOPでもロックンロールでもない。

責任が伴うし、やはり顧客への対応いかんで評価も変わる。基本的に素晴らしいビジネスって本当に顧客目線で出来てる事を忘れたらいけない。職人は年々市場価値が下がっているのだけど、理由は明確で「融通が利かないから」だ。

しかしラッパーも客気取りで偉そうに振る舞うな。なぜかというときっとトラックメーカーは金を取ったとしていてもコンビニのバイトの時給以下で作ってるかもしれないってことを理解しよう。

仕事で制作費安いなら「金額安いんだから作るもんはこんなもん」って思うよ、普通なら。そんで妥協無いモノを作るには「時給3000円以上から」の技術料×作業工数になることを忘れるな。

多分このラインも払えないならトラックメーカーは有償だがほとんどあなたに「善意」でトラックを作ってる可能性が有る。巷の制作業の技術者を雇うには時給は最低でも「3000円」からになる。

これは商業的に成立させる為の最低ライン。多分社会に出たら役に立つよこの考え方。まあ、交渉力があれば発揮してもいいかもしれない。

もしどこかからリリースする予定が有るならだけど「作品リリース後諸経費を除いた利益からあなたにいくらお支払します」っていう方法も有りかもしれんでしょ?持ち出し金なしでトラック手に入れたいならいい方法じゃん。コレがビジネス。

お互いの事情を把握できれば嫌な気持ちにならずに済むから、双方気持ちよく作品作り出来るようにするべきだと強く感じます。

最後に

DJ PremireはGURUにトラックを作るのにイチイチ金を要求しないでしょう。むしろ一緒に作品を作り上げて「作品で収益を上げる」というチームで作業をしているハズ。私はこういうスタイルが好きだ。信頼関係が有るから良い作品が出来る。

しかし、別にイチイチトラックを販売するという事がダメなことかというとそうは全く思わない。ガンガンやれば良いと思っている。ココらへんはただの好みだ。

ただ、忘れてはならない事がある。多分トラックメーカーは「自分的に本当にスペシャルなトラック」に関しては金で売らないと思う。きっと最高だと感じているラッパーにこっそりと渡すだろう。てか俺なら絶対にそうする。か、インストで出す。

なので実際問題「金を詰めば最高のトラックが手に入る」という訳では無いことを理解すべし。

「偉そうに、お前なにもんだよ」って思った方もいると思う。サーセン。

でもやっぱりこの様に文化がどんどん広がっている時だからこそ余計な事は避けたいよね、ということでより良いやりとりを目指せた方がいいと思って書きました。

ラッパーでこれから誰かにトラック提供依頼したいと思っているのであれば多分ココらへんをチェックしておけば基本的に揉めないと思うし、トラックメーカーで今までラッパーとのやり取りで不快な気持ちになった事がある場合はある程度対応策もあると思います。

もう一回最後に言わせて貰うけどラッパーとトラックメーカーは敵同士じゃなくて本来はチームだからね!みなさんのミュージックライフがより良いものとなりますように。ピース!!